インテリアアートと本格的アートに違いはあるの?

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インテリアアートと本格的アート

【はじめに】
「インテリアアート」は「装飾系」のアートのひとつですが、「本格的アート」という場合の「本格的」という形容詞が相応しいものではない、とするような説明もみられます。
しかし「インテリアアート」や「装飾アート」にも「本格的」と呼べるアートはあるし、そもそも、アートに「本格的」などという形容詞を用いること自体がおかしなことかと思います。

また、日本人が「アート」というワードを使う場合には、かなり和製英語的な文化が広まってしまっていて、なんでも「アート」というワードをくっつけてひとくくりにしがち、ということもあり、「本格的アート」みたいな区別が必要になっている、という側面もあります。
さらに、「インテリアアート」という俗称分類で呼ばれるアート分野は、他のアート以上に、「玉石混合」かつ「石」の方が圧倒的に多いという背景も、このワードの世間一般の「アートと言っても低級、低俗」というイメージを作っています。
この記事では、そうした玉石混合の「石=雑貨的」な方の「インテリアアート」という場合のご説明です。

アートについて「本格的」という形容詞を使うことへの違和感、是非については、こちらの記事をご覧ください。

 


インテリアアート、本格的アート、そしてポップアートの意義

インテリアアートは装飾的なアートの一つとして広く認識されていますが、時には「本格的なアート」との違いが議論されることがあります。
特に、「インテリアアートは本格的なアートではない」とする意見もありますが、この見方には一部の誤解が含まれています。
実際には、インテリアアートにも「本格的」と言える作品が存在し、またその多様性や質の高さが評価されるべきです。
インテリアアートが持つ大きな意義は、まさに「大衆のためのアート」として、日常生活に密着した形で私たちに影響を与える点にあります。
このことを、ポップアートを絡めてまとめてみます。

インテリアアートと本格的アートの違い

インテリアアートと本格的アートを区別する場合、重要なのはそれぞれの目的制作過程です。
しかし、この違いがイコール「質が異なる」や「価値が低い」ということではありません。以下に、それぞれの特徴を説明します。

1. 目的と意図

インテリアアートは、主に空間を美しく飾ることが目的です。室内の雰囲気を高め、特定のテーマやスタイルに合わせて選ばれることが多いです。
しかし、「本格的ではない」とされることが多いのは、この装飾的な要素に焦点が当たるためです。
ところが、装飾目的のアート、インテリアアートにも強いメッセージや感情が込められているものは多くあります。
まさに、日常生活に寄り添い、人々の心を豊かにする重要な役割を果たしているのです。

本格的アートは、創作者が美の追求や自己表現、メッセージの伝達を意図して制作するもので、社会的なメッセージや個人的な感情が込められます。
インテリアアートとされるものに、このような作品が含まれないということはなく、どちらもその目的を持ち、我々の生活に大きな影響を与える点では共通しています。

現代アートにおいては、岡本太郎のように生と死や原爆を扱ったメッセージのある作品でも、インテリアに飾っても違和感の少ないものもたくさんあります。

2. 制作過程と技術

インテリアアートの多くは商業的な目的で制作され、量産品や複製品が多く流通していることも事実です。
しかし、これは一面に過ぎません。手作りの独創的な作品や、空間への適応性を重視した優れた作品も多く存在します。
技術的な面でも、商業的要素が強いからといってその価値が下がることはなく、むしろその役割や影響力において非常に高い評価を受けるものも多くあります。

本格的アートは、独創性や技術が重要視され、制作過程において作家の個人的なビジョンや情熱が色濃く反映されます。
確かに、本格的アートの制作過程には時間や独自の手法が求められることが多いですが、インテリアアートにも技術的な挑戦や表現力の発揮が見られる作品が多数あります。

3. 価値と市場

インテリアアートは比較的手頃な価格帯で流通させる雑貨的製品が多く存在したり、あるいはビジュアル性だけで大衆的人気を呼ぶことが、かえって「深みが無い」とされることが往々にしてありがちです。
しかし、インテリアアートは、空間に調和をもたらし、人々の生活空間を豊かにするという価値があり、また、人々の身近な場所に存在することが多く、その影響を直接的に受けるため、生活や文化に深く関わるものでもあります。

本格的アートは、作家の名声や作品の歴史的背景によって高い評価を受けることがあり、オークション等で高額な取引がなされたりしますが、インテリアアートとされたものにも、多くの高額取引の事例が存在します。
こうした高額取引の価格が、必ずしもアート本来の価値を反映していない、という問題はあるものの、インテリアアートだから本格的アートではない、ということは全くの間違いということは、ここからもわかります。

4.ポップアートとインテリアアート

ここで、ポップアートに触れてみましょう。ポップアートは、1950年代に登場したアートのスタイルで、大衆文化や商業的な要素を取り入れることが特徴です。
アンディ・ウォーホルやロイ・リキテンシュタインなどのアーティストによって、広告、コミック、消費文化といった日常的な要素をアートに取り入れ、大衆の関心を集めました。
ポップアートは、アートが必ずしも高尚で難解なものである必要はなく、むしろ大衆文化や日常生活に密接に結びついているという新しい視点を提供しました。

このポップアートの理念は、インテリアアートとも深い関連があります。
インテリアアートもまた、日常生活に根ざし、広く一般の人々に楽しんでもらえるアートであり、ポップアートが目指した「大衆との接点」を現代の空間装飾に生かす重要な役割を果たしています。
ポップアートが持つ大衆的でアクセスしやすい特徴は、インテリアアートにおいても重要な要素です。

まとめ

インテリアアートは、その目的や技術、安価な流通性などの価値において「本格的なアート」ではないと分類すべきものではありません。
むしろ、日常生活に密着したアートとして、私たちの生活空間に色彩や感情をもたらし、大衆文化と深く結びついた意義を持っています。
ポップアートが示したように、アートは必ずしも高尚である必要はなく、むしろ私たちの日常の中に息づくことで、アートとしての本当の力を発揮するのです。


 

「玉石混合」の石がダイヤになることはないのか?

 

冒頭にお断りしたように、「インテリアアート」は玉石混合で石の方が多い、という前提で説明をしてきましたが、「石」だとされてきた「インテリアアート」がダイヤモンドになるケースはないのか?
と言えば、実はそのような事例も「インテリアアート」には多く存在します。
本当にアートの歴史やアートの本質を理解している人は「インテリアアート」をひとくくりにして否定することはしません。

一方、「アート」を富裕層コレクターの資産継承の道具として「投資対象」として扱う、という大きな側面があり、それが「投資用アート」の価格を形成しているのは、歴史的にも、現代でも変わらず存在しているのは事実です。
そうした背景から、富裕層やアートコレクター向けにアートを売る目的のサイト説明では「インテリアアートのような資産価値のないものはアートではない」と否定した説明をしている記事もあります。
しかし、「アートを投資対象」としてしか評価しない人たちが「石」だと否定してきたものがダイヤだったケースは多くありますので、「現時点の資産価値の有無」という面からのみ「アートか否か」を説明するのは、論理的矛盾があります。

大谷選手のメモリアールボールもオークションにかければ値段が吊り上がりますが、「投資としてのアート」は、大谷選手のボールと同じ理屈で価格形成されているだけです。
投資対象のアートの価格というのは、その時代のその時点の「アートを買えるほんの一部の超富裕層コレクターの人気」を反映しているだけです。
(オークションは、理論的には、一部の富裕層同士で、意図的に価格を高騰させることすら可能な仕組みです。)

超富裕層の超長期投資目的の場合、それは「アート」でも「ボール」でも、あるいは「不動産」でも、自分の資産が代々継承できる投資対象であればなんでもいいのです。
そして、富裕層にとって「アート」も分散投資対象の一つだということに過ぎません。
ただし、アートには、超富裕層のコレクションの趣味と資産承継の両方の満足が得られるというのが、おそらく、他の資産以上に魅力がある資産です。
こうしたアートのオークションによる高騰という側面を批判したのが「バンクシー」の「オークション会場での作品の裁断」という行為でしたが、これでさらにバンクシー作品が高騰したのは皮肉な結果です。

いずれにしても、今の時代は、バブル崩壊の時代を知らない人たちの記事が溢れていますが、不動産価値の暴落以上に売れなくて底なしの暴落をしたのが「アート」だったことも忘れてはなりません。
もちろん、真の富裕層はそんなときもアートを手放さずにずっと保有し続けることができる、という人たちですが。

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