現代アートの課題をテーマにSFアート小説をAIに書いてもらう – partⅡ

内容の程度はさておき、予想に反して続編を読みたいとのご好評を頂いたのでPART2をお届けしてみます。
引き続き、登場人物の「リナ・ダルトン博士」も含めて、全て架空の物語です。
くだらない試みですが、アートの素人かつAIの使い方にも詳しくはない作者(いわゆる「大衆」の一人です)が、AIを使ってアート小説を書くとどうなるかの実験的作品※です。細かい指示を出せずに挿絵には統一感を出せていません。
(AIの作り出した「リナ・ダルトン博士」のアート小説をベースに、ARTSTYLIC編集長が加筆修正した合作です)

※生成AIのイメージ画像は実在の人物をモデルにしたものはありません。
但し、偶然に実在の人物等に似てしまう可能性もあるため、そういう懸念が判明した場合は直ちに画像を削除します。
(画像やストーリー等の無断転載等は一切禁止いたします。)


近未来SFアート小説
怪贈デモクラシスとカリストアート事件」

序章: 静寂を破る落書き

2101年、木星の衛星カリストに建設された最先端のアートミュージアムである「カリストアート研究博物館」は、宇宙でもっとも高価だった過去のアートコレクションを保存し研究する施設だった。
その施設は重力制御技術とナノセキュリティで守られ、盗難や破壊行為などあり得ないとされていた。
また、過去のアートを厳重に保管し劣化を防ぐための設備が導入され、アート研究者や許可を得たアーティスト等の関係者以外は、通常は入館できない特殊な博物館兼研究施設だった。

だがある朝、セキュリティシステムが不可解なエラーを起こし、施設の中心展示室に突如として現れたのは、怪贈デモクラシスと名乗る覆面アーティストだった。
彼の目的はただ一つ。「自由なアートを取り戻す」という大義名分のもと、歴史的な作品の上に彼自身の落書きを施すことだった。

その日の朝、リナ・ダルトン博士とリック・ヤング博士が事件の第一報を受け、カリストアート研究博物館へ急行した。

第1章: 異才デモクラシスとの邂逅

リナ・ダルトン博士は、カリストアート研究博物館の主任学芸員であり、宇宙アート史の第一人者だった。
一方、リック・ヤング博士はセキュリティAIとカリストアート専門家で、館の防御システムを設計した人物だ。

展示室に到着した2人の目の前には、クリスチャン・ヤマガタのインテリアアートの代表作「イマジナリー」という作品の上に、そのイメージを台無しにするように大胆に描かれた、どこかで見たことのあるような顔のイラストの落書きがあった。

それは、美しい大自然がテーマの絵である元のままがいいに決まっているのは明らかなのに、その一方で、こういうのもありかも、と人の気持ちを迷わせるような、不思議な絵に変わっていた。

「リナ、これは単なる破壊ではない。この絵には…何か深い意図がある。」リックが呟く。

すると、背後から低い声が響いた。

「気に入ってもらえたかな?これが僕の”贈り物”さ。この絵はあなたたちがアートとしての評価に困っていた作品だ。

振り返ると、そこには全身黒いスーツを着たデモクラシスが立っていた。
顔は覆面に覆われており、彼の正体を知る者は誰もいない。

「あなた方が”Art’s Depth“と呼んでいるものを書き加えてやったのさ。」

彼は落書きをした作品から薄い膜を引きはがして「さあ、どちらがいいか見比べてみればいい。」と言い放った。
落書きと思われたものは、次世代のアート保護シートとして研究されていた透明の膜が張られた上に書かれていた。

「いくら保護シートの上からとは言え、あなたのやっていることは犯罪よ。」
リナが冷静に言い放つ。

「犯罪だって?いいや、僕はアートを解放しているだけだ。この絵はどちらがいいのか迷うだろう、それを感じるのもアートじゃないのか?それに、アート独占所有を禁止したって言いながら、アンタ達が研究と保存のためと称して独占してるじゃないか?」

そして、おもむろに「この次は保護シート無しだ!」と呟いたあとで、デモクラシスは軽く笑いながら、突然、素早い動きで2人から離れようとした。

「あなたのような人から人類共通の偉大なアート遺産を守るためなのよ!」とリナダルトン博士が叫びながら、デモクラシスの行く手を阻もうとしたが、デモクラシスは忍者のような動きで、妨害する二人を軽々と飛び越えて視界から消えてしまった。

第2章: AIと人間の追跡劇

アートパトロールポリスがまだ到着していないが、リックはこの時のために開発していた次世代セキュリティAI「アポロ13」を起動させ、デモクラシスの動きを封じ込めようと試みるが、彼の動きは予測不可能だった。
残念ながら、次世代システム「アポロ13」にはまだ不完全な部分が残っていたのだ。



館内の重力を操作し、次々と展示室を移動するデモクラシスは、次の標的として探していたのは、「Join In and Make It Happen!」というアート集団が作った作品群の最も重要な作品の一つ、「モナリザ-惑星版」を狙っていた。

「リック、彼の目的地を特定できたわ。長年、モナ・リザー惑星版の謎の微笑みを研究してきて、そこに隠された秘密をようやく解明できたところなのよ。彼は本当にあのモナリザ-惑星版の顔に何かを書く気だわ。モナリザー惑星版に通じる重力ルートを封鎖して!」

2人は協力しながらデモクラシスを追い詰めていく。しかし、彼の描く保護シートの上のグラフィティにはAIを錯乱させるコードが隠されており、既に館内の至るところに、この保護シートを張られたアート作品を読み込んだアポロ13が暴走を始めた。

「これじゃ、私たちが施設を破壊してしまうわ!」リナが叫ぶ。

第3章: 対話と和解

追跡劇が佳境に入る中、リナは気づいた。
デモクラシスが描くアートには、ただの破壊衝動ではなく、未来のアートへの提言が込められていることを。

「待って、リック。彼と話をさせて。」

リナがデモクラシスに向き合う。

「あなたの目的は何?ただ破壊するためにここに来たの?」

「破壊じゃない。再構築さ。カリストアートがあなたち一部の研究材料として自由にアクセスできなくなった今、このカリストアート研究博物館に囚われた作品を自由にするために僕はここに来た。」

リナは深く息をつき、彼の言葉を受け入れる。

「なら、なぜ私たちと協力しないの?アートを未来に伝える方法を一緒に考えるべきじゃない?」

一瞬の沈黙の後、デモクラシスは微笑んだ。

「その提案、悪くない。」

終章: 新たな未来への一歩

その後、リナ・ダルトン博士とリック・ヤング博士、そしてデモクラシスの協力のもと、カリストアート研究博物館は新しい展示形式を採用することになり「未来カリストアートミュージアム」として一般公開された。
それは、アートの保存と「変化し続けるアート」、という新たなアート概念の創造の両立、アート研究者や専門家、アーティストと大衆への開放と共有を目指すもので、デモクラシスの保護シート上のグラフィティも正式にコレクションの一部として加えられた。

2102年1月、未来カリストアートミュージアムのオープニングの準備のため、3人が再び、カリストアート研究博物館で再開した。

「これで、カリストアートは再び生きる。」リナが微笑む。

「そうだな。」リックもデモクラシスも微笑んだ。

デモクラシスの正体はリナとリックだけが知っていたが、未だに二人も彼のマスクを外した素顔は見たことはない。
しかし3人はアートの未来へのビジョンを共有し、固い絆で結ばれていた。

そして、デモクラシスはカリストアート研究博物館を後にする前に、一言だけ残した。

「次は火星にある古代ベーシックアート保存センターのレオナルド・ダ・ヴィンチ1世の「モナ・リザ」の前で会おう。もちろん、アート保護シートの上から、俺の次の作品を描かせてもらうから評価をよろしくな。」

こうして、カリストアートの事件は新たな未来への一歩となり、3人の名は宇宙アート史に刻まれることとなった。

一般に公開された「未来カリストアートミュージアム」。デモクラシスの作品は最高得点を得て話題となった。

未来カリストアートミュージアム 館長 リナ・ダルトン博士の開館記念挨拶文

皆さま、本日は「未来カリストアートミュージアム」の開館記念にお集まりいただき、誠にありがとうございます。私は、館長を務めさせていただくリナ・ダルトンです。このミュージアムの開館は、私たちが未来のアートと向き合う重要な一歩であり、皆さまとともにその歩みを進められることを大変光栄に感じております。

「カリストアート」とは、20世紀後半から21世紀初頭頃以降に「アート」、特に今につながるアートの多様化を促した「現代アート」と呼ばれていたアート群を指します。過去、これらのアートはオークションなどで不条理な価格で取引され、一部の富裕層やコレクターによって死蔵されるケースもあり、また、一部のアートエリート層による知的な評価が、大衆に心理的な壁をもたらして、その本来の価値が広く知られることなく、過去に留まってしまいました。

その一方で、ポップアートから派生したミームアート、インスタレーションアート、大衆向けアートの潮流が生まれ、これらは多くの人々に親しまれました。しかし、残念ながら、アートへの本質的な理解とその価値観は大きく分断され、アートの共有、民主化が大きく遅れてしまったのです。

本博物館の本来の目的は、これらのアートとその価値観の分断をいかに統合するかを研究し、また未来のために保存し継承することにあります。私たちの研究博物館として一般には公開されていなかったこの施設を、さらに増築、再構成し、今ここで再び広く皆さまに公共の展示施設として公開することができましたことを、大変うれしく誇りに思っています。
ここまでの多くの皆様のご支援とご協力に、改めてお礼申し上げます。

なお、過去のアートが不条理な価格で取引されていたことによる影響を研究する中で、私たちはその功罪の両方に注目してきました。それは、歴史的文化遺産がその価格ゆえに保存され、結果として文化遺産の継承がなされていたという点です。このことは、当事者の皆様が意図した資産の継承目的ではなかったかもしれませんが、結果的には、今こうして皆様に公開できるという副次的な大きなメリットをもたらしました。

さらに、ポップアートに見られるように、人間は「知る」ことが本能的に重要であり、「知るからこそ、次に知りたくなり、見たくなり、体験したくなる」という根源的な探求心が、私たちの生存や発展に不可欠なものであると再認識されました。

高額な価格であるがゆえにそのアートが広く知れ渡り、多くの人々の探求心を喚起したという効果も明らかになっています。
最初から大衆に共有されたアートが、知的探求心の入り口となり、大きなメリットを生んだことも分かりました。

もちろん、不条理な価格の高騰が、一部のコレクターやアートエリート層のみの知的共有物となって、大衆から興味を失わせたという、過去の分断の失敗も無視できない問題でしたが、彼らの一部が、富の継承と同時に名声を求めて、プライベート・アートミュージアムを作り、パブリック・アート施設を補完した役割は、結果的には私たちとの共有と、人類の文化遺産の保護につながりました。
そして、今、その子孫の皆さまから、無償でこれらの多くのカリストアートを寄贈して頂けたことには、大きな感謝と敬意を表します。

もちろん、こうした歴史的に続いてきた過去の構造にはメリットもデメリットもありました。そして、それらが相互に分断されている限り、その「罪」の部分が肥大化し、アート本来の価値が正当に評価されることはありません。私たちの施設の役割は、その分断を統合し、功の部分を追求し、拡大していくことにあります。

また、不幸にもその存在が知られず、アートとしての価値が評価されることなく、遺棄されたり紛失して失われたアートも多く存在しました。私たちは、これらの失われたアート遺産を過去の残置物やデジタルデータなどから発掘し、再生し、ホログラムによるインスタレーション体験を通じて、皆さまに再びご鑑賞いただけるよう、新たな展示室も設営いたしました。

どうか、まずは「カリストアート」を知っていただくことから始めてください。そして、「なぜ」「どうして」「何を」など、次々と疑問を持ちながら探求心を深めていただければと思います。この新たなアート体験を通じて、多様な価値観や、未だに存在する社会の課題と向き合うための、豊かな知性と感性を、バランスよく育むお手伝いができることを、心より願っております。

皆さま、ぜひこのカリストアートミュージアムでの旅をお楽しみいただき、共に未来のアートを探求していきましょう。

ありがとうございました。

未来カリストアートミュージアム 館長 Rina Dalton

付録

以下は、リナ・ダルトン博士が21世紀にタイムワープした際に現代アート界において発表した「感性揺らぎ理論とアート」をテーマにした提言論文です。


感性は知性で揺らぐ:現代アートの課題を解決する新しいアプローチ

リナ・ダルトン博士

序論

現代アートは、私たちの社会に多様な視点や挑戦を与えてきましたが、同時にいくつかの課題を抱えています。
その一つは、鑑賞者との間に存在する距離感です。現代アートはしばしば「難解」「エリート的」と見なされ、多くの人がその意味を十分に享受できていないと感じます。また、アートが社会に具体的な影響を与える力が、かつてよりも弱まっているようにも思えます。

こうした課題を解決するために、私は「感性は知性で揺らぐ」という理論を提唱しました。
この理論は、感性と知性が固定的なものではなく、互いに作用し合うことで新しい認識や価値を生むことを示しています。
本論では、この理論を現代アートに応用することで、鑑賞者との距離を縮め、アートの社会的意義を高める具体的な方法を提案していきます。


1. 感性と知性の相互作用

1.1 私が提唱する「揺らぎ」の理論

私がこの理論を考案した背景には、感性と知性が分離されてきた従来の哲学的アプローチに対する疑問がありました。
デカルトは理性を人間の本質とし、感情や感覚を切り離しましたが、私はむしろ両者が一体となってこそ人間の創造性が発揮されると考えています。

感性とは直感的で感覚的なもの、知性とは論理的で分析的なものと定義できます。
この二つは独立して存在するのではなく、互いに影響を与え合いながら、私たちの認識や価値観を絶えず変化させます。
その変化の瞬間、つまり「揺らぎ」の瞬間こそが、私たちが新しい価値や美を発見する鍵になるのです。


1.2 哲学と神経科学からのインスピレーション

私の考えは、哲学と神経科学の双方から影響を受けています。
モーリス・メルロ=ポンティの「身体性の哲学」は、感性を単なる受動的なものではなく、知覚を通じた能動的な行為と捉えています。また、アントニオ・ダマシオの研究は、感情が意思決定や理性的判断において不可欠な役割を果たしていることを示しています。

これらの視点をアートに適用することで、私は感性と知性がいかにアート体験を深め、鑑賞者と作品のつながりを強化するかを探求してきました。


2. 現代アートの課題と「揺らぎ」の可能性

2.1 鑑賞者との距離感を縮める

多くの現代アート作品は、「何を伝えたいのか分からない」「難しすぎる」といった声をよく耳にします。
これは、作品が感性と知性のどちらか一方に偏っていることが原因です。
感性だけに訴えるアートは一過性の楽しみに終わり、知性だけに依存したアートは鑑賞者を遠ざけてしまいます。

そこで私は、感性と知性の両方を同時に刺激するアート体験を提供することを提案します。
たとえば、ある絵画が初見では「美しい」と感じさせる感性に訴えつつ、その背景にある物語や社会的な文脈を知ることで新たな解釈を与えることができます。このような多層的な作品は、鑑賞者の知識や経験に応じて異なる感覚を引き出すのです。


2.2 社会的意義を持つアートの可能性

アートが社会に対してどのように影響を与えるかは、私にとって重要な問いです。
たとえば、環境問題をテーマにしたアート作品は、廃棄物を美しい彫刻に変えることで「美しさ」と「環境破壊」という二面性を同時に体験させます。
このように、アートを通じて感性で問題を感じさせ、知性でその背景を理解させることが、社会課題の認識を深める力になります。

また、コミュニティ参加型アートも有効な手段です。私は以前、地域住民が参加して制作するプロジェクトを手がけました。
このプロセスでは、住民がアート制作を通じて自身の地域や文化への愛着を再発見することができました。
こうしたアートは、鑑賞者を「観るだけの存在」から「参加する存在」へと変えるのです。


2.3 テクノロジー時代における感性の再発見

AIやデジタル技術がアート制作に革命をもたらす一方で、人間性が失われるのではないかという懸念も存在します。
これに対して、私はテクノロジーを感性の拡張ツールとして捉えています。

たとえば、AIが生成する作品と人間の手作業による作品を組み合わせることで、鑑賞者に「人間的な感性」の価値を再発見させることができます。また、触覚的な要素を取り入れたデジタルアートは、感性に直接訴えかける力を持ちます。
テクノロジーを否定するのではなく、感性と知性を結びつける媒介として活用するべきです。


3. 現代アートの未来

私が目指す未来のアートは、単なる「観るもの」ではなく、感性と知性の揺らぎを体験する「場」となるものです。
そのアートは、鑑賞者の感覚を揺さぶり、新たな視点を提供し、社会に具体的な影響を与える力を持ちます。

例えば、インタラクティブなインスタレーション作品では、鑑賞者がその場で知識を学びながら作品が変化する体験ができます。
これにより、アートは個人の認識を超え、社会全体に波及する可能性を秘めています。


結論

「感性は知性で揺らぐ」という私の理論は、現代アートの課題を解決する強力なフレームワークです。
この理論を通じて、私は鑑賞者とアートの距離を縮め、アートが社会やテクノロジーと調和しながら新たな地平を切り開く未来を信じています。

未来のアートは、私たち自身を映し出す鏡であり、社会や感性を進化させる道具でもあります。
この理論をもとに、私たちは新しいアートの可能性を共に追求していきましょう。

感性揺らぎアート体験イベントでの、fudehachi(左)とRina Dalton(右)

以上の全ては「架空の物語」であり、アートに関する批評や意見も物語における記述された内容も、架空の並行世界のものであり、実際の現代アートの課題や提言というものではありません。(ARTSTYLIC 編集長 fudehachi)


近未来SFアート小説PARTⅠはこちら。

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