アートには「多面性」がありますが、もう一つは「二面性」がある、という点は、面白くもある一方でアートを観る上での覚悟が必要なことです。
スターウォーズ的に言えば、「ダークサイド」なテーマですが、そこには人間の持つ根源的な「死」や「性」、「戦争や暴力」「環境破壊」といったテーマのアート等です。
ここでは、アートの二面性という観点から、インテリアとして「飾りづらいアート」というテーマで、世界で最も有名で衝撃的な作品をいくつか挙げると、次のようなものがあります。
これらは、視覚的に不快であったり、挑戦的すぎて、一般的な家庭やオフィスのインテリアアートとしては適さないでしょう。
1. マルセル・デュシャン「泉」(1917年)
概要
マルセル・デュシャンの「泉」は、既製品(便器)をアートとして展示したことで、20世紀の美術に革命をもたらした作品です。
デュシャンはこの作品を「R. Mutt」と名付けてサインを入れ、無名の男性が公共の場に設置した便器をアートとして展示しました。
これは美術界に対する挑戦的な態度を示し、「アートとは何か?」という根本的な問いを投げかけました。
特に、「レディ・メイド(既製品)」をセレクトしただけ、という手法も革命的でした。
この作品については、あまりに有名なので、これ以上の説明は省略します。
2. ピエロ・マンゾーニ「芸術家の糞(Artist’s Shit)」(1961年)
概要
ピエロ・マンゾーニが1961年に制作した「芸術家の糞」は、缶詰の中に自身の糞を詰めたとされる挑発的なコンセプチュアル・アートです。
この作品は、アートの価値や市場主義への鋭い批判として制作され、当初は缶の重さに基づいて金と同じ価値で販売されました。
中身の真偽
缶詰の中身が実際に糞であるかは議論の的となっています。鋼製の缶のためX線検査ができず、開封すれば価値が失われるため、真相は不明です。
一部では石膏などが詰められている可能性も指摘されています。
アートとしての意義
この作品は、芸術が物理的な形態ではなく、概念やメッセージを重視する現代アートの象徴です。
同時に、芸術市場やコレクターの消費行動に対するアイロニーを込めた作品であり、デュシャンの「レディメイド」に続く重要な位置づけを持っています。
「芸術家の糞」は、アートの境界を問う象徴的な作品であり、その挑発性と市場価値のギャップが議論を呼び続けています。
3. ダミアン・ハースト「死の物語」(1990年)
概要
ダミアン・ハーストは、死や生命の儚さをテーマにした作品で有名です。
「死の物語」では、死んだ動物(例えばサメ)をガラスケースに入れ、ホルマリン液で保存した作品です。
他に有名なのは「Mother and Child, Divided(母と子、分断されて)」です。
この作品では、縦2つに切断された牛の2つの体内の断面が、それぞれホルマリン漬けにされています。
こうした作品では「死」を視覚的に捉えるという挑戦的なアプローチをしました。
一方、アートの二面性、と同じく、芸術家にも二面性があり、ダミアン・ハーストの代表作には、「Spot Painting」スポット・ペインティングシリーズや「Cherry Blossoms」桜シリーズのように、インテリアに飾っても違和感のない作品もあります。
これらの作品は、芸術としての挑戦や問いかけを含んでいますが、その内容や表現方法があまりにも衝撃的であるため、一般的な家庭やオフィス空間には適していないと感じる人が普通でしょう。
しかし、これらの作品は美術館やギャラリーなど、特定の場所で高く評価され、議論を呼び起こす力を持っています。