NOTARTの天才?~ヴィヴィアン・マイヤーの謎

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なぜこれほどの大量の写真を撮影していたのか?

「ART」という言葉を捨てて「NOTART」という新たな呼び方を提唱したこちらの記事ですが、まさに「NOTARTの天才」とも言うべき謎の女性がいたことをご存じでしょうか。
それが、この「ヴィヴィアン・マイヤー」という謎の女性です。
ざっくり、この女性について、ご紹介してみます。


ヴィヴィアン・マイヤー (Vivian Maier) は、アメリカのストリート写真家でありながら、生前は無名の存在でした。
2009年に彼女が亡くなった後、膨大な写真が発見され、現代写真界で一躍注目されました。
彼女の作品は、日常の瞬間を鋭い視点で切り取ったもので、その芸術性が高く評価されています。
しかし、彼女自身はこれを「アート」として撮影していたわけではなく、アートとして再評価された稀有な事例でもあります。

生涯

  • 生誕: 1926年2月1日、アメリカ・ニューヨーク州ブロンクスに生まれる。
  • 家族背景: フランス系の母とオーストリア系の父を持ち、幼少期をフランスとアメリカで過ごす。
  • 職業: 生涯の大半をナニー(子守り)として働き、シカゴを拠点に活動。

ヴィヴィアン・マイヤーは非常にプライベートな性格で、周囲からはエキセントリックで変わり者と見られていました。
特に彼女の収集癖は顕著で、新聞、切り抜き、小物、写真といった膨大な物を生涯にわたり集め続けていました。
こうした収集癖は、写真撮影にも通じていたと考えられています。撮影そのものが、彼女にとって一種の「コレクション活動」だった可能性があります。

性格と謎

彼女の撮影動機は今も謎に包まれています。以下のような解釈が提案されています:

  • 個人的な探求: 写真を通じて自分自身や周囲の世界を理解しようとしていた。
  • 収集癖の延長: 撮影が物理的な収集と同じように、彼女の満足感を満たす行為だった可能性。
  • 社会との関係性: 他者との距離を保ちながらも、写真を通じて社会を観察し、記録することで繋がりを持っていた。

彼女はこれらの写真を発表する意図を持っていなかったとされ、その点でも「アート」として評価されることを想定していなかった人物です。

写真の特徴

彼女の作品は、1950年代から1980年代に撮影され、以下の特徴を持っています:

  • ストリートフォトグラフィー: 都市の日常生活を鋭い観察眼で捉えた写真。
  • 人々の表情: 子供や労働者、ホームレスなど、多様な人々の自然な表情を記録。
  • セルフポートレート: 鏡や影を利用した独特のセルフポートレートが多い。
  • モノクロ写真: 高品質のモノクロ写真が中心で、ローライフレックスカメラを愛用。

再発見と評価

2007年、シカゴの歴史研究家ジョン・マルーフが競売で購入した箱の中に、彼女の膨大なネガフィルムが含まれていました。
この発見が、彼女の作品を世界に広めるきっかけとなりました。

  • ドキュメンタリー映画:
    2013年に公開された『ヴィヴィアン・マイヤーを探して (Finding Vivian Maier)』は、彼女の人生と作品に迫るドキュメンタリーで、2015年にアカデミー賞 長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされました。
  • 展覧会: ニューヨーク、ロンドン、東京などで開催され、多くの人々を魅了しています。

遺産

ヴィヴィアン・マイヤーの写真は、アートとして意図されていなかったにもかかわらず、その芸術性と時代性が高く評価されています。
彼女の人生と作品は、写真が単なる記録を超え、アートとして再解釈される可能性を示すものです。

さらに、彼女の収集癖やエキセントリックな性格が、写真という形での「収集活動」を生み出したと考えられる点も興味深い要素です。
彼女の隠された才能と、そこに込められた個人的な情熱?(彼女の場合、情熱というよりも「癖」というべきか?)は、今なお多くの人々を魅了し続けています。


さて、いかがでしたでしょうか。
まさに「NOTARTの天才」とも呼ぶべき不思議な女性ですね。

もう少し詳しい説明がこちら。
「謎の女性写真家の正体は、天才か変人か、孤独な被害者か冷酷なナニーか。」(Yahooニュース:渥美志保さんの記事:映画ライター2015/10/10)

写真好きな方には、写真家の渡辺さとる氏のYouTube「2B Channel」での解説動画も面白いですね。

マイヤーの写真は公式サイトでじっくりとご覧いただけます。